
永 住
永住は、母国の国籍を失わない気楽さと、一度取得すれば一生更新しなくていい、就労に制限がないという二つの大きな特典とで人気があります。年々、永住者はたいへんな勢いで増加しています。
2020年度末の在留外国人数は約288万人、うち永住者は約80万人、特別永住者は約30万人です。(特別永住者とは、第二次世界大戦終了前から日本に在留するおもに朝鮮半島・台湾出身者と、そのご子孫のことです)。2020年度までの永住者数の推移は、下の法務省の統計PDFファイルをご覧ください。また永住許可のための要件についても同省ファイルをご参照ください。
今永住で一番大きな問題があります。
それは2019年7月から永住をとる要件が非常に厳しくなったことです。
以下にそのおもなポイントをあげます。
1. 就労資格の住民税の課税及び納税証明が3年分→5年分(配偶者資格は1年分→3年分)
2. 国民健康保険の過去2年分の支払い領収書提出
3. 年金過去2年加入・納付の証明(国民年金の場合過去2年分の支払い領収書提出)
4. 源泉所得税及び復興特別所得税等の納税証明書(その3)の提出
ついに年金加入・納付が永住の要件に入ってしまいました。しかも就労資格の場合、過去5年分の収入が一定水準以上で安定していなければなりません。目安は単身者でも300万円以上が望ましいレベルです。そして被扶養者が増えるほど、さらに収入が必要になります。
これは実は2017年から2018年8月にかけて法務省に市区町村から寄せられた「永住許可に関する意見等」がありました。それは「納税証明書の提出を求めない過年度分の税金は未納が多いことから,過年度分まで提出を求め,納税義務の履行を確認して いただきたい」「永住者は将来も日本に居住することが見込まれるため,国民年金保険料の未納についても,将来の無年金者や生活保護受給者の増加につながる問題であるため,市税の納付と合わせて注視していただきたい」などの要望でした。
これに基づき、2019年7月に大きく改革されたようですが、現実には日本が直面する少子高齢化という大問題が根底にあるでしょう。日本の若い就労者人口が年々減り、逆に老人がどんどん増える。税収入の不足と、年金の目減りは、これからの日本の死活問題です。
日本に永住する方々に、これらの負担をお願いしたい、その覚悟と能力のある人に与えられるのがこれからの永住です。
しかし取れないVISAではありません。大会社の社会保険加入者なら心配しすぎる必要はありません。国民年金・国民健康保険加入者は、今の要件に合うように、数年かけてでも自身の許可条件を作るのです。まずは当事務所にご相談ください。永住をとるまでの道筋を作りましょう。